ようこすのブログ

忘却の彼方に行ってしまわれるあれやこれやを書き留めておくところ

時間/受容がお薬

骨折してしばらく、階段から落ちる瞬間をザワッと思い出しては身がすくむ思いを何度もしました。
これなんだろう?と思ったら「PTSD?かも?」と言われ、精神科の受診を勧められました。

しかし、精神科の先生は
「階段から落ちて骨を折るって、普通に怖い思いをしてますよね。思い出してまた怖くなって当たり前ですよ。僕が見たところ、あなたは病的に怖がっている様子もないし、怖い思いをされた方が通る回復の途中だと思います。授乳中だし、授乳のほうが僕は大事だと思うのでお薬はいらないでしょう。時間が解決してくれますよ。時間がお薬ですね」
というような内容をニコニコと優しく話してくれました。

一応、先生には「私が授乳中でなかったら、どんなお薬を出そうと考えますか?」と聞いてみたところ、精神安定剤の名前を幾つかおっしゃいましたが「でも、(授乳中でなくても)いらないです」と繰り返し話してくださいました。

それから不思議と落ちる瞬間を思い出すことがなくなりました。
骨折後の子育てに必死で、思い出す暇がなくなったのも大きいですが、先生が優しく
「あなたは怖い思いをした」
と受け止めてくれたからじゃないかと思います。

それまでの私は「自分が階段から落ちなかったら、子供を危ない目に合わせることもなかった」と自分を責めて責めて責め続けてきました。でも、自分を責めたところで階段から落ちた事実は消えませんし、骨折が早く治るわけでもありません。落ちた事実、骨折が痛かった事実、そして自分が怖く辛いと感じたことを、先生の言葉を通じて自分で受け止めた時から、私の気持ちは階段から落ちた時から未来を向き始めたんだと思います。

先生の「時間がお薬」という言葉も私に深く染み入りました。それ以上に、先生が私の恐怖を受け入れてくれたこと、そして自分でも恐怖を受け入れられたことが、私の回復には重要なお薬になったと考えています。

桜の木の下

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